2010年4月2日金曜日
大学生活を有意義にするための2つの心得
後輩から「新入生のためのパンフレットに一文書いてくれ」と頼まれ、しぶしぶ承諾しました。
せっかく書いたので、ここにもアップさせていただきます。
みなさん、こんにちは。大学入学おめでとうございます。
専攻に関しては他の方に任せて、私はもう少し一般的な話をしたいと思います。この場を借りてみなさんに伝えたいことはひとつです。それは、「大学生活を意義あるものに」ということです。
20歳前後に過ごす4年間は、人生の中でとても貴重な時間です。この大学でみなさんは様々な出来事を体験し、様々な人に出会うことでしょう。私自身の経験に照らし合わせても、大学時代の4年間はとても多くのことを私に教えてくれました。
しかし、この貴重な時間を最大限に活用するためにはいくつかの心得が必要になってきます。ここでは、大学生活を無為に過ごさないための2つの心得をみなさんに授けたいと思います。
まず最も大切なことは、本を読むことです。それも良書をたくさん読むことです。本を読むことには大きく分けて2つの効用があると思います。1つは、言語運用能力の向上です。人間が生きていくためには、他者とのやり取りが欠かせません。その際には、自らの考えを明確にし、他者の考えを的確に受け取れることが大切です。凝った言い回しなどを覚える必要はありませんが、思考を言語化できる能力はきっとみなさんを助けてくれるでしょう。2つ目の効用は、思考の深化です。多くの本は著者が、ある目的のもとに、論拠を示して、ある主張をまとめたものです。著者の目的は何か、論拠は何かという能動的な姿勢で数多くの本と接することで、論理的な思考力や客観的観察力、対象を比較検討する力を身につけることができると思います。
第二の心得は、回り道を厭(いと)わないことです。私たちは移動するときだけでなく、物事を考えるときにも、つい最短経路を求めてしまいがちです。確かに限りある時間をいかに配分して何に投資するかはとても大切な問題です。しかし、せっかくまとまった時間のある大学生なのですから、積極的に回り道をしてみましょう。面倒くさがってインターネットで検索すれば出てくるような答えで満足しては、そこからの成長は望めません。時間がかかっても自分の頭で考えたこと、調べたことはきっとみなさんの糧となるはずです。伝聞の知識とは違い、自分で考えたことはあらゆる場面に応用が利くので、新たな課題に向き合ったときに解決のヒントにもなるでしょう。
最初は無限とも思える大学生活も、気づけば矢のように過ぎ去っていきます。みなさんの毎日が有意義なものであること、卒業後に大学生活を振り返った時にこの大学へ入って良かったと思えることを切に願います。
大学というアカデミアでは、どうしてもアルバイトやサークル活動を軽んじる傾向がありますが、私自身としては本人がちゃんと選んだ事なのであれば特に問題はないと思います。そこから学べる事も多くあるでしょう。
後輩には、専門のことばかり詳しくなってしまい、他の事は全く興味や知識がないという専門バカにだけはなってほしくないです。そんな人間に魅力は感じないですし、研究活動も薄っぺらいものになってしまうと思います。大学生活を通じて、もっと自分の幅を広げるようにしてほしいものです。
2010年3月2日火曜日
『Evernoteハンドブック』を読む
ついに待望の『Evernoteハンドブック』が発売されました。
私も午前中にダウンロードして、早速読ませていただきました。
まずは、以下に本書の章構成を紹介したいと思います。
Chapter 1 Evernoteをはじめよう
Evernoteで何ができる?
Evernoteのアカウントを作成する
ブラウザにウェブクリッパーをインストールする
Evernoteのクライアントをインストールする
iPhone/Android版のEvernoteをインストールする
Evernoteの基礎知識:ノートとノートブック
まずはテキストノートを作ってみる
[Win]手書き風味のインクノートをつくってみる
ウェブページをクリッピングして保存する
スクリーンキャプチャーを撮影する
マルチメディアが入ったノートを作成する
ノートブックを作成してノートを整理する
ノートを検索して探す単純な文字検索
Web版Evernoteのインターフェース
Windows版Evernoteのインターフェース
MacOSX版Evernoteのインターフェース
iPhone版Evernoteのインターフェース
Android版Evernoteのインターフェース
Chapter 2 Evernoteを使いこなす
いつでも使えるグローバルショートカット
電子メールでいつでもどこでもノートを追加
ノートのなかでToDoチェックボックスを活用する
ノートにタグをつけてゆるやかに整理する
タグを階層化してきめ細かい情報整理をおこなう
ノートブックを使うか、タグを使うか?それが問題だ
Evernote最大の機能、文字認識機能のしくみと威力
「保存された検索」でいつもの探し物に近道を
ノートを自動で整理してくれる属性情報を使いこなす
ノートを別ファイルでエキスポート・インポートする
2つのノートを1つにマージする
iPhoneクライアントを使いこなす
進化したクライアントWindows版Evernote3.5
Evernoteプレミアムに移行する
Chapter 3 Evernoteの一歩進んだ使い方
Evernoteを使うときに増やしたい情報と減らしたい情報
ノートブックを共有する知り合いと、世界と
GoogleReaderから直接情報をクリップする
ScanSnapから直接Evernoteにスキャンする
Eye-FiとEvernoteで写真のような記憶をつくる
Evernoteマスターの鍵、高度な検索条件
情報を探す2種類の検索:ノート群検索とノート内検索
SpotlightでEvernoteのノートだけを検索する
日本語検索の注意点:ダブルクオーテーションを使う
Mailpiaでブログを自動的にEvernoteに
Twitterでの日々のつぶやきを全自動でEvernoteへ
Twitterから直接Evernoteにメモをとる
iPhoneのJotNotからEvernoteへ資料を送信する
Chapter 4 Evernoteを仕事と日常で使いこなす
ユビキタス・キャプチャーの習慣で人生を保存する
Evernoteが秘書になる参照情報集約センターの作り方
ネタ帳ガーデニングで常にネタを生き生きと
Evernoteで成長する読書ノートをつくる
理想の研究ワークデスクとしてのEvernote
Evernoteで43フォルダーズ的に情報整理する
Evernoteで作るミニマルGTDセットアップ
Evernoteのタグを使ったプロジェクトマネジメント
会うたびに追加されてゆく人脈データベースを作る
Evernoteで作る名刺データベース
ワインの知識を体系化して自分の知らない自分に会う
囲碁・将棋・チェスの上達にEvernoteを使う
Evernoteでお料理百科(レシピノート)を作る
宴会・懇親会のお店選びからデータベース化まで
お目当ての部屋探しにEvernoteを使う
一目で分かると思いますが、Evernoteに関して非常に幅広い記述を行っており、初心者から上級者まで誰もが使える本に仕上がっています。私のような自称中級者は学ばせていただくことが多くありました。それぞれの項目も1,2頁で簡潔に記載されていて、分かりやすいです。
Chapter 1ではEvernoteの基本を、Chapter 2ではその発展を示しており、実際にEvernoteを使っている人はChapter 3以降を中心に読むことになるのではないでしょうか。私はそうでした。
Chapter 3では周辺機器や他のサービスとの連携、また高度な検索方法についてまとめられています。特に高度な検索に関しては、私はほとんど知らなかったので、このような形でまとめていただけると非常に助かります。
また、Chapter 4では実際に著者の3人がどのような使い方をするのかというのをケーススタディ的に記していて、大いに参考になります。「そんなことまでEvernoteでやる意味があるのか」という感想をもったものも正直いくつかありましたが、「こんなことにも使えます」というアナウンスはこのようなハンドブックの中では一定の価値があると思うので、それはそれで読者側とすれば取捨選択すれば良いだけの話ですね。
ただ、電子書籍という画期的な形態をとった本書にも残念な点が2つほどあります。
1つは、目次がないということです。
どうしても必要というわけではないのでしょうが、本という体裁をとっている以上、その本の構成は冒頭部分で示すべきだと思います。読者にとっても、読みやすさが全く違ってくるのではないでしょうか。なぜ目次をつけなかったのか、理解に苦しみます。
2つめは、誤植がかなり多いことです。
私も本を編集することがあるので、誤植が出版物にはある程度つきものであることは理解しています。しかし、校正を何回行ったのか分かりませんが、少し誤植が多すぎるように思います。正直に言うと、このレベルではまだ表に出すべきではなかったように思います。
しかし、電子書籍のメリットは、悪かったところを皆で見いだして、Ver.2以降に反映できることです。
私もこの本のすばらしさを充分理解したうえで、苦言を呈させていただきました。
私としては参考になる部分も多くあり、早速いくつかの手法を試してみようと考えています。
2010年2月28日日曜日
能動的読書のために
迷宮入りするかに思えた写真整理も一段落したことで、本日は穏やかな休日を送っていました。
こんな日は一日中、本を読むのが私の楽しみのひとつです。
本の読み方というのも十人十色でしょうから、ここで私なりの本の読み方を紹介したいと思います。
多くの人と同様、私も読書技術を日々磨いていまして、新たな手法を取り入れるなど様々な工夫をしています。紆余曲折を経て、現在はこの方法がベストというものを編み出すに至りましたが、この方法もいつまで続くのかは分かりません。
私の読書技術の大きな特色の一つは、書き込みをせずに、付箋を使うというものです。
一時期は本の余白に重要点や疑問点などをこれでもかと書き込んでいたのですが、この書き込み法がもつ様々な弱点に気づき、そっとペンを置きました。
私が思う書き込み法の弱点はいくつかあります。
1つ目は、いつでも書き込めるとは限らないことです。机の上で本を読んでいるときは書き込むのが容易だと思うのですが、満員電車の中や就寝前のベッドの中では、本を読むことはできてもそこにアイデアを書き込むのは困難を伴います。本の内容を咀嚼し、思考を整理するために書き込むのに、場所によってはそれを行えないというのでは本末転倒なような気がします。
2つ目は、書き込まれた情報が本とともに本棚に入ってしまうため、着想やアイデアを整理しづらいことです。せっかく本の内容に触発されて素晴らしいアイデアが浮かんでも、それを効果的に整理・活用しないと無駄になりかねません。さらに、書き込みがあるのかないのかすら外見から分からないのでは、何年か経ったあとに「俺はこの時こんなことを考えていたのか・・・」という思い出にしかならないのではないでしょうか。
他にも細かい点はいくつかありますが、大きな弱点はこれぐらいです。
では、私の考える効果的な読書技術とはどのようなものなのか。
持ち物はなにもいりません。
必要なのは、前もって表紙の裏に付箋(ナイロンで半分透明のものがベスト)を20枚ほど貼付けておくことだけです。
あとは読み進めていって、気になるところがあればその箇所に付箋をはる。この繰り返しです。
読了したのちは、表紙裏の余った付箋を回収し、しばし置いておきます。
時間ができたときには、この本の付箋が貼られた部分を再び読み、該当箇所の抜き出しおよび着想をEvernoteに記していきます。
本一冊分をノート一つに対応させることもあれば、アイデア一つに対してノートを一つ作成することもあります。
Evernoteを使うことによって、着想を一元管理しながら、著書とのリンクは外さないということが可能になるのです。
この手法のミソは、読んでから時間を置いて記録をとることだと思います。
ある程度時間を経過させることによって、読了後の興奮状態ではなく、かなり冷静な視点で著書に当たることができます。
私の家には今数えたところ、Evernote入力待ちの本が約40冊あり、入力が完了して売却待ちのものが約10冊あります。
かなり溜まってきているので、近いうちに時間を見つけて一気に打ち込みたいと考えています。
方法は人それぞれ様々あるのでしょうが、一番まずいのが読んだら読みっぱなしという態度だと思います。
読書というのはある意味では受動的な知的活動でしょう。しかし、その内容をいかに自分のものにするか、いかに発想を広げていくかという能動的な態度を持つことは可能ですし、そのような態度を持って臨まないと、本は急にそっけない一面を見せるような気がします。自分なりの読書技術を構築することによって、能動的な態度で読書を行えるようになり、自分の大きな糧とできるのではないでしょうか。
2010年2月27日土曜日
Dropboxを使ったiPhotoの同期を断念する
最近はデジタルカメラが普及してきたこともあって、多くの人が気軽に写真を撮るようになってきています。私もデジタル一眼レフを持っており、公私を問わず写真を撮る機会が多くあります。
さて、今回は取りためた膨大なデジタル写真をいかにして保存・管理するかという問題を考えたいと思います。
私の写真データの総量は約13GBです。写真は他の作業で使うファイルとは異なり、基本的に削除することがないので、データの総量は時間とともに増える一方です。
これまではDropboxのPhotoフォルダの中にイベントごとにサブフォルダを作成して、全ての写真をそこに入れていました。Dropboxはバックアップをネット上に残すとともに、もしそれが消えても遡って復元できるので、これでも保存・管理については充分なのですが、活用という側面から考えると充分とは言い難いのです。
そこで、様々なネット上の偉人の意見を参考に、iPhotoとDropboxを併用してみようと思い立ちました。「人々」や「撮影地」といった他には無い優れた機能を有したビュワーであるiPhotoを使わないというのは宝の持ち腐れであると考えたのです。Dropboxは保存には適しているのですが、ビュワーとしてはお世辞にも高機能とは言い難いのが現状です。
iPhotoとDropboxを併用することは、その両者の良いところをつまみ食いすることを意味します。つまりデータ本体はDropbox上に置いておいて、それをiPhotoによって活用するという手法です。
やり方は非常に簡単だと思っていたのですが、なかなかどうして、これがうまくいきません。何か設定のミスでもあったのでしょうか。いずれにせよ、私には原因は不明です。
「iPhoto Libraly」をDropbox内に作り、それに全ての写真を入れ、MacでiPhotoを立ち上げる際にそのDropbox内のLibraly を参照するように設定しました。しかし、同期されるものが一部ある一方で、同期されないものも数多くあるようです。さらに細かい修正を一方で加えても、もう一方のMacには反映されないという事もありました。
便利かと思って試してみたのですが、今回はあきらめることにします。
とりあえず現状ではDropboxにすべての写真を入れておいて、母艦である自宅のiMacのiPhotoをビュワーとして用いるのが妥協案です。このiPhotoを常に立ち上げておけば、MacBookからでもライブラリの共有機能を用いることによってiPhotoを使うことができるでしょう。正直私はそこまで、過去の写真ファイルを頻繁には見ないのでこの方法でも充分と言えなくもありません。もっとヘビーに使う方々はどのように写真を整理しているのでしょうか。
2010年2月26日金曜日
あえてScanSnapからEvernoteへは転送しない
ScanSnapは大変便利なドキュメントスキャナです。かなりのヒット商品のようですし、私も非常に重宝しています。
ScanSnapとEvernoteの連関性は強力で、読み込んだ書類を自動的にOCR認識して、それをEvernoteに取り込むという作業をワンタッチでやってくれたりもします。
この方法を使うと、とても速く書類が整理できるためEvernote使いとしてうれしい限りなのですが、いくつかの問題点があり、過去に使っていたこの手法は現在では多くの場合で使っていません。
その問題点は2つあります。
1つは、容量の問題です。私はあまり詳しくないので、理由はよく分からないのですが、ScanSnapでOCR認識したPDFファイルは少し重いようです。毎月容量限度との戦いを強いられている私にとっては、ファイルの容量はとても大きな問題なのです。また、Evernoteには1ファイル25MB以下という制限もありますから、重いPDFファイルの扱いに困っている人は私だけではないでしょう。
そこで私が採用した解決法は、AdobeのAcrobatを使うというものです。OCR認識をScanSnapではなく、Acrobatで行うのです。
ScanSnapで普通にスキャンしてPDF化したのちに、AcrobatでOCR認識を行うと、ScanSnapで行ったものよりも3割から6割ほど軽いPDFファイルができあがります。これをEvernoteに入れるのです。この手法はScanSnapから直接取り込むよりも一手間かかるのが唯一の難点ですが、これまで重くてEvernoteに入れることができなかったPDFファイルが入れられるようになるのであれば、これぐらいの手間を惜むべきではないでしょう。
2つめの問題点は、縦書き文書の取り扱いです。ScanSnapのOCR認識では縦書きの文章を検索でひっかけることが難しいようです。Acrobatでは文書が縦書きでも横書きでも問題なく読み取ってくれるので重宝しています。
AcrobatによるOCR認識は確かに時間がかかるのですが、「OCRを使用して複数のファイルのテキストを認識」というコマンドがあり、一気に作業を終わらせることができるので、就寝時などMacを長時間使わない際にその作業を行えば、それほど苦痛にはならないと思います。
かく言う私も、数枚しかない紙資料をスキャンする際は、ScanSnapのOCR認識を使っています。
しかし、重いファイルを扱う際には他にも方法があるという事はおいて損はないと思います。
Evernoteに入れるPDFファイルの容量でお困りであれば、是非一度試してみてはいかがでしょうか。
2010年2月25日木曜日
現時点での私のEvernoteの使い方
昨日に、大勢で各人のEvernote使用法を共有することを提案したので、ここで私も自分の現時点での使用法を示しておきたいと思います。
Evernoteの使い方はつまるところ、何を入れるのか、そしてノートブックとタグをいかに整理するのかという2点に集約されるのではないでしょうか。もっと大きく捉えれば、インプットの仕方やScanSnapの使い方のような話にもなるのでしょうが、とりあえず今回は省略することにします。
まず、Evernoteに何を入れるのか。
これは個々人によって多少異なると思います。ネットで見てみると、タスク管理として用いている方や、画像のファイルの整理として使う方もおられるようです。私は主に自身の研究活動のためにEvernoteを使っているので、入れるものは論文のPDFファイル(数が非常に多く、重いため苦労します)、アイデアメモ、データメモ、図版資料のJPGファイルが主です。自身が取ったノートや学会の配布資料などはスキャンして全て入れていますし、興味深いウェブクリップも入れています。また備忘録として忘れるべきでないメールの内容や大学の掲示なども入れています。
タスク管理として使うこともできるのでしょうが、これにはToodledoを使っていまして、現時点では不満は特にないのでEvernoteは研究活動に特化した使い方をしています。
つぎに、ノートブックとタグをいかに使うのか。
これには大きく分けて3パターンの使い方があるでしょう。つまり、ノートブック中心派とタグ中心派、および両使い派に分かれると思います。私はこの中では、タグ中心派に位置します。
私はノートブックは2つしか作っていません。その名も"Sync Notebook"と"Local Notebook"です。本当は"Sync Notebook"一本にしたいのですが、私は毎月Evernoteの月容量500MBを使い果たすので、ほぼ使い果たしたあとにアップロード待ちのノートを入れるスペースとして"Local Notebook"を置いているのです。月が変わりEvernoteの容量がリセットされると、私は"Local Notebook"の中から約490MBのノートを選択して、それらを"Sync Notebook"に移すわけです。
ノートの分類はすべてタグで行います。ノートブック分類を使わない理由の一つが、分野横断的な内容のノートをどこに入れるのかで迷いが生じることです。ある程度適当に入れておいて、あとは検索して探すというのも一つの手段なのでしょうが、そうするとEvernoteの良い点である情報を一覧することが難しくなると思うのです。また、タグの階層化も使いません。その理由は下部概念のタグを付ける際に、一つのノートにその下部タグを包括する上部タグを付ける必要が生じるからです。自動でやってくれれば良いのですが、手動でやるのはどうも面倒なのです。タグの数が約30個という少ない数なので、現時点では階層化してまで整理する必要性は感じていません。
タグは主にジャンル名で付けています。似たようなジャンルは頭文字に同じマークを付けることで、うまく配列されるように留意しています。タグがアルファベット順でなくて、自由に並び替えできればもっと便利だと思うですが、現時点では難しいようです。
あとはひたすらノートにタグを付けていく作業を行うのみです。私はタグ単位で閲覧することが多いので、タグを付ける際にもノートの内容が少しでもタグの領域にかするようならそのタグをつけることにしています。多くの情報を一覧することによって発生する知的化学反応を楽しみにしているというのも、このタグ中心派の言い分なわけです。
タグ中心派の最右翼、ノートブック不要派の弱点に先日気づいたので、それを加えて筆を置きたいと思います。それは、iPhoneでEvernoteのオフライン機能が使えないことです。この機能はノートブック単位でどれをオフラインにするか決めるものなので、大量のデータを一つのノートブックに集中させている私はこの機能を利用できないようです。iPhoneが圏外の場所でもノートを閲覧できないのは残念ですが、仕方ないですね。
2010年2月24日水曜日
Evernoteの個人的使い方を発信すること
最近Evernoteをめぐって、ネット上で様々な動きがあるようです。
その一つはEvernoteが日本語化に向けて、本格的に動き出し、その第一歩としてEvernoteウェブのトップページの日本語版が公開され、それとともに、日本語版公式ブログも開設されました。
また、ユーザー側からの動きとしてはEvernoteを本としてまとめるというものがあります。一つは『できるポケット+ Evernote』という書籍です。こちらはコグレマサトさんと、いしたにまさきさんによって著されたもので、発売日は3月5日だそうです。 目次はすでに公開されているですが、それを見たところ本の内容は本当の入門者向けだと感じました。Evernoteをちょっと使った事のある人ならおおよそ分かりそうな内容に終始していて、正直なところ私が参考にできる部分は非常に小さいと思います。
ユーザー側が出版するもう一つの書籍は電子書籍という形態で発表される『Evernoteハンドブック』です。こちらは知る人ぞ知るライフハッカーであり人気ブロガーでありEvernoteヘビーユーザーでもある堀正岳さん、佐々木正悟さん、大橋悦夫さんの3名によって書かれるもので、ダウンロード開始日は3月2日とのことです。こちらは私も参考にすることが多々ある3名の執筆なので期待が高まります。さらに電子書籍での発表というのが素敵です。このようなウェブサービスは日進月歩の発展を続けていて、紙媒体の出版ではどうしてもフットワークが重くなってしまいがちですし、今年の最新情報は来年になれば陳腐化していることでしょう。このような事情のため、フットワークの軽い電子書籍で発表することによって常に最新の情報を提供できるようにしたのは大正解と言えると思います。内容に関しては未だに明らかになっていませんが、お三方のことですからきっとヘビーユーザーの期待に応えるもののはずです。
つまり、今の情報社会において「Evernoteとはなんぞや」という疑問などは本屋に行って書籍を求めなくても、ググればたちどころに分かるのです。確かに書籍化することによって、これまでよりさらに多くの人々が食指を伸ばすことになるかもしれません。しかし、それではヘビーユーザーにとっては退屈なのも事実なわけです。
ググっていくつかのサイトで情報を得れば、Evernoteとは何であって、どのような特徴があるかなど、すぐに分かります。昨年11月の時点で、すでに日本では14万人が利用しているとのことなので、一定の市民権は得ていると捉えても差し支えないでしょう(とは言っても、先日ヤフートピックにEvernoteのCEO来日のニュースが流れていた時はさすがに驚きました)。
このような状況で求められるアウトプットは「私はこう使う」というものであると私は考えます。非常に自由度が高く、多様な使い方が可能なEvernoteを「どのような目的で、どのように使うか」という情報こそ、初心者からヘビーユーザーまで多くの人が求めているのではないでしょうか。
梅棹忠夫さんは有名な著書の中でこう述べています。
「この本でわたしは、たしかに、知的生産の技術についてかこうとしている。しかし、これはけっして知的生産の技術を体系的に解説しようとしているのではない。これは、ひとつの提言であり、問題提起なのである。これをよまれたかたがたが、その心のなかに問題を感じとって、それぞれ個性的にして普遍的な知的生産の技術を開発されるための、ひとつのきっかけになれば、それでいいのである。そして、こういう問題を公開で議論するならわしが、これをきっかけにしてはじまるならば、わたしは大変うれしい。」(梅棹忠夫『知的生産の技術』p.19)
ライフハッカーのバイブルとも言うべきこの本の中で、梅棹さんは個々人の知的生産の技術は決して体系的で優れたものではないかもしれないが、それを他者と共有することの大切さを説いています。様々な技術・方法を大勢が提示しあう。他人の方法を試してみる。真似るところは真似る。分からないところは訊く。知っていることが教える。これこそがネット社会の知的生産の技術ではないでしょうか。
「知的生産の技術について、いちばんかんじんな点はなにかといえば、おそらくは、それについて、いろいろとかんがえてみること、そして、それを実行してみることだろう。たえざる自己変革と自己訓練が必要なのである。」(前掲書p.20)
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