2010年2月24日水曜日

Evernoteの個人的使い方を発信すること


最近Evernoteをめぐって、ネット上で様々な動きがあるようです。

その一つはEvernoteが日本語化に向けて、本格的に動き出し、その第一歩としてEvernoteウェブのトップページの日本語版が公開され、それとともに、日本語版公式ブログも開設されました。

また、ユーザー側からの動きとしてはEvernoteを本としてまとめるというものがあります。一つは『できるポケット+ Evernote』という書籍です。こちらはコグレマサトさんと、いしたにまさきさんによって著されたもので、発売日は3月5日だそうです。 目次はすでに公開されているですが、それを見たところ本の内容は本当の入門者向けだと感じました。Evernoteをちょっと使った事のある人ならおおよそ分かりそうな内容に終始していて、正直なところ私が参考にできる部分は非常に小さいと思います。

ユーザー側が出版するもう一つの書籍は電子書籍という形態で発表される『Evernoteハンドブック』です。こちらは知る人ぞ知るライフハッカーであり人気ブロガーでありEvernoteヘビーユーザーでもある堀正岳さん、佐々木正悟さん、大橋悦夫さんの3名によって書かれるもので、ダウンロード開始日は3月2日とのことです。こちらは私も参考にすることが多々ある3名の執筆なので期待が高まります。さらに電子書籍での発表というのが素敵です。このようなウェブサービスは日進月歩の発展を続けていて、紙媒体の出版ではどうしてもフットワークが重くなってしまいがちですし、今年の最新情報は来年になれば陳腐化していることでしょう。このような事情のため、フットワークの軽い電子書籍で発表することによって常に最新の情報を提供できるようにしたのは大正解と言えると思います。内容に関しては未だに明らかになっていませんが、お三方のことですからきっとヘビーユーザーの期待に応えるもののはずです。


つまり、今の情報社会において「Evernoteとはなんぞや」という疑問などは本屋に行って書籍を求めなくても、ググればたちどころに分かるのです。確かに書籍化することによって、これまでよりさらに多くの人々が食指を伸ばすことになるかもしれません。しかし、それではヘビーユーザーにとっては退屈なのも事実なわけです。

ググっていくつかのサイトで情報を得れば、Evernoteとは何であって、どのような特徴があるかなど、すぐに分かります。昨年11月の時点で、すでに日本では14万人が利用しているとのことなので、一定の市民権は得ていると捉えても差し支えないでしょう(とは言っても、先日ヤフートピックにEvernoteのCEO来日のニュースが流れていた時はさすがに驚きました)。

このような状況で求められるアウトプットは「私はこう使う」というものであると私は考えます。非常に自由度が高く、多様な使い方が可能なEvernoteを「どのような目的で、どのように使うか」という情報こそ、初心者からヘビーユーザーまで多くの人が求めているのではないでしょうか。

梅棹忠夫さんは有名な著書の中でこう述べています。
この本でわたしは、たしかに、知的生産の技術についてかこうとしている。しかし、これはけっして知的生産の技術を体系的に解説しようとしているのではない。これは、ひとつの提言であり、問題提起なのである。これをよまれたかたがたが、その心のなかに問題を感じとって、それぞれ個性的にして普遍的な知的生産の技術を開発されるための、ひとつのきっかけになれば、それでいいのである。そして、こういう問題を公開で議論するならわしが、これをきっかけにしてはじまるならば、わたしは大変うれしい。」(梅棹忠夫『知的生産の技術』p.19)

ライフハッカーのバイブルとも言うべきこの本の中で、梅棹さんは個々人の知的生産の技術は決して体系的で優れたものではないかもしれないが、それを他者と共有することの大切さを説いています。様々な技術・方法を大勢が提示しあう。他人の方法を試してみる。真似るところは真似る。分からないところは訊く。知っていることが教える。これこそがネット社会の知的生産の技術ではないでしょうか。

知的生産の技術について、いちばんかんじんな点はなにかといえば、おそらくは、それについて、いろいろとかんがえてみること、そして、それを実行してみることだろう。たえざる自己変革と自己訓練が必要なのである。」(前掲書p.20)

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